禅と茶の集い

みをただし いきをととのえ すわるとき そのみ そのまま みな ほとけなり

手のひらの感覚 禅と茶の集いだより(155)

4月29日の「禅と茶の集い」の参加者は13名、初参加の方は1名でした。
 
19時からの1炷香の静坐(座禅、坐禅)の後、月に一度の太田先生による坐禅ワークショップです。
最初に合掌する手の形の違いによる感覚の変化を体験しました。
左右の手を堅く合わせる堅実心(けんじつしん)合掌。
手のひらをしっかりと密着させると、力が入るので自然と奥歯を噛みしめるようになります。
虚心(こしん)合掌は自然に両手を合わせた形で、手のひらは密着せず、間に少し空間がある形。
力を入れずに手のひらを合わせるので、奥歯の噛み合わせも緩みます。
気持も穏やかになり、自然に口元が緩んでくるようで飛鳥時代の仏像のアルカイックスマイルをその例として上げられました。
金剛合掌は左右の手のひらを合わせて十本の指を交互に浅く交差させるもの。
代表的な三つの合掌の形の説明からワークショップが始まりました。
 
次は手のひらの握り方の違いによる感覚の変化を体験。
強く握りしめた拳では力強さ・真剣さを感じ、その拳を開いた瞬間の風の感覚では開放感や楽しさ・ゆとりを感じました。
手のひらの形が変わるだけで、感覚そして意識が瞬時に替わることを体験できました。
そのあとは、歩行をしながらこの感覚を味わう練習です。
風を手のひらで感じながらゆったりと歩く練習では、
白隠禅師の『もの持たぬ たもとは軽し 夕涼み』という句を上げて説明を受けましたが、
なかなかにそこまで感じることは容易ではなさそうです。
 
普段の生活では、脳(頭)で身体(行動)を仕切っている訳ですが、風を感じながら歩くことで、開放感やゆとりの感覚に集中し、その感覚で脳(頭)を仕切る・支配するということでした。
感覚と一つになることで三昧に入り、考えること(念慮)を棚上げにするということなのだと思いますが、仏法の練習(稽古)は難しいものではなく、行住坐臥の毎日の生活の中に取り入れることで習熟していくということでした。
                
来週5月5日の「禅と茶の集い」は、祭日のためお休みです。
 
合掌 無端 拝