禅と茶の集い

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禅体験セミナー 禅と健康(5) 健康はどこで育まれるのか

 本当はこういう広くて深い意味での健康を得ることこそが人生を送る上で一番大切で、役立つことだと思いませんか?ですけれど学校ではあんまりこういうことは教えてくれません。身体を健やかに保つ練習、これは保健体育でやりますね。心を健やかに保つ練習は道徳の時間がそれに当たるのでしょうか??でもあんまり役に立ったようには感じませんが、むしろ図工や音楽の方が役に立っているかもしれませんね。人間関係を円滑にする方法も習った覚えは無いし、人格を高める方法なんかそもそも教室のなかで教えることはできませんね。

 

 こういうことのほとんどは家庭で両親に育てられながら、あるいは学校では友達と遊んだり、どこの学校にも少数だけいる優しくて、人間くさくて素晴らしい先生に感化を受けたり、クラブ活動をしたりしながら、喜んだり悩んだり、うまくいったり失敗したりしながら、知らず知らずのうちに学んでいるのでしょう。だけれど、学校に通っている頃はその後から比べたら本当に幸せな、守られている環境だったんでは無いでしょうか。学校時代は何とかなっても、その時に学んだ事だけでは人生に太刀打ちできなくなってしまうことがほとんどでは無いでしょうか。

 

 あるいは現代日本において家庭や地域の教育力には少々問題が出てきているとの意見もあります。核家族化や地域の崩壊によって、若年者の養育にかかわる人が親だけになっており、多様性が失われている。そういう理由で皆が大人になって独立する頃までに充分に成熟できない環境があるのではないかと思います。

 

 一度社会に出てしまえば、荒波にもまれます。そしていろいろと頭を打って、何とかしなくてはとおもうわけです。何とかしなければ!!と思うことができればそれは実に健康的な考え方ですね。

 

 完成された人格などというものは架空のもので、そもそも実在しないので、少しでも良くなろうというその気持ちが尊いわけですからね。

 

つづく