禅と茶の集い

みをただし いきをととのえ すわるとき そのみ そのまま みな ほとけなり

坐禅のすすめ『序 文』p1~2 内田昭夫

この編著は,昭和53年の秋から翌春にかけて,千葉市コミュニティセンターにおいて,千葉市社会教育課の主催する青年教室の禅入門講座としてなされた話をもとに,そのときの講師がこれを原稿にまとめたものである。

国民経済にゆとりができて,地方自治体では,スポーツや芸術や趣味のいろいろな領域にわたって施設をつくり催しを行う傾向が全国的に拡がってきている。 しかし一般には,まだ静寂の境に身をおいて人間としての自分の生き方を反省し,心のふるさとを探るという試みというのは未だしの感が深い。

喧噪の中で仕事や情報や刺激におい立てられながら夢中で生活しているといってもよい現代の多くの人々にとってこそ,すべてから解放され,暇を得て自分というものを静かに見直すための,瞑想の環境と時間がほしいのである。

千葉市のこのような試みは,よく現代文化と現代人の生活の本質を見た,先見性のあるすぐれたものといってよい。 各地方においても,そのための施設ができ,このような試みが続々と行われるようになることを,切に願ってやまない次第である。

ここにこの編著のできた機縁を述べ,序文にかえる。

昭和54年9月 内田昭夫 識す。

(了)