禅と茶の集い

みをただし いきをととのえ すわるとき そのみ そのまま みな ほとけなり

第41回 禅体験教室③ 茶と禅~マインドフルネスと禅~「禅と茶の集い」だより(246)

                                                             令和元年6月21日 記録者・栗田和夫

1.はじめに
 今日は、「第41回 禅体験会」である、第三回目の「茶と禅」についての講座の内容ついてのお話をさせていただきます。
実は、この内容は、私が兼任講師をしている専門学校における新任教職員研修『第2回 くつろぎ体験「茶と禅」~マインドフルネスと禅~』でお話ししたことを題材としたものであります。
今回の禅体験会の日程は、①講義:18:30~19:00、②呈茶体験19:00~20:00、③坐禅体験20:00~20:30となっております。

2.講義から
 まずマインドフルネスについて、その概要について整理してみました。

(1)マインドフルネスについては、アメリカのマサチューセッツ大学医療センターのジョン・カバット・ジン博士により心身医療の現場で応用されています。
 そして良く知られているのが、アップル社を創業したスティーブ・ジョブズが、曹洞宗の僧侶・乙川弘文老師に出会い、禅に影響を受け、ご存じの通り、世界を変えた数々の製品を生み出す中で、禅を実践していたということです。

(2)マインドフルネスとは

・日本マインドフルネス学会の定義では、「今、この瞬間、評価をせず、とらわれのない状態で、ただ観ること」とされています。
・グーグル社、アップル社など大手IT企業の社員研修プログラムとして活用されています。
・禅との共通点でいえば、「集中力・三昧力」を養うということと、「安楽の法門」などがあるかと思われます。

(3)マインドフルネスと禅は、目指すものが別物

・禅は、ブッダの悟りそのものを目指し修行そのものが重んじられています。
マインドフルネスは、瞑想による心理的安定が得られることなどが期待されています。
・そのうたい文句とは
 禅の金看板は、「不立文字」、体験であるといわれ、禅寺・専門禅道場などで行われている。
 マインドフルネスは「マインドフルネス瞑想」等として、宗教とは一線を画し、「ストレス軽減・集中力アップ・自律神経回路」などのトレーニング法として普及されている。
・ただし、ともに指示されるのは、「静かに座り、雑念を払って心を整える」ということです。

3.呈茶体験から

 実は、今日は、誠に忙しい一日でした。午前9時からの授業があり、午後3時からは、千葉の親子三代夏祭りの「第2回まつり部会(小生は副部会長)」があり、終わったのが5時半近く、そんなわけで、お茶の準備が充分に行えませんでした。申し訳ありません。
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 参加者全員にお茶室に移動してもらい、お茶とお菓子を頂きながらの、禅と茶についてのお話を引き続いて行わせて頂きました。
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 まずは、今日のお菓子ですが、愛媛県松山の「山田屋まんじゅう」で、私がいつも禅道場で使わせて頂いておるものです。実に小ぶりながら美味しいお菓子です。
 そして本日の茶花は、季節の紫陽花とホタルブクロです。
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 それから「禅と茶」に関わるお話ですが、茶は鎌倉時代初期、臨済宗栄西禅師が宋から持ち帰ったと言われております。実は、眠気覚ましだったというのですが、大徳寺の「茶礼」の作法であったものが、「書院の茶」として確立され、さらに千利休によって今につぐ「わび茶」としての大成を見ることになったということです。
 さてさて実際にお茶を頂くにあたっては、全てが理にかなった「眞・行・草」の有形無形のものがあり、和敬清寂の世界がそこにあるのです。たとえば、お茶を頂く際には、お隣に「お先に」と眞の挨拶、飲む際は、お茶碗を正面を避けて内側に廻す、うやまいの心・へりくだる心のあらわれなのです。
 そして、お遊びなのですが、今日の主茶碗は、私の自作の茶碗で若いころに京都のあかね窯で焼いて頂いたものです。また茶杓も自作です。蓋置きですが、たまたま垣根の竹を切っていて、偶然にできた産物です。とまあ、いろいろと禅と茶を、楽しんでいるところであります。

4.おわりに
 呈茶の後は、全員で静坐をおこないました。
今日のお話の「マインドフルネスと禅」につていですが、今の人は、ご利益が無いと、やる気が湧かないのではないでしょうか。
禅は「Just sit!(ただ坐りなさい)」・うるものは何もない・無功徳・不可得といわれます。
一方、マインドフルネスは、時代に即したトレス解消などの健康法として注目されています。
いずれにしても私自身、今少し「マインドフルネスと禅」について研究をして行きたいと思います。
 さて、来週も「第41回 禅体験会」は続きます。第4回目となりますが、テーマはその名も「坐禅について」です。精神科医からの大変興味のあるお話が伺えるものと思われますので、是非とも多くの方のご出席を期待しております。