禅と茶の集い

みをただし いきをととのえ すわるとき そのみ そのまま みな ほとけなり

宗教の本性

つい先ほどまでユーチューブのライブ配信で横田老師の日曜説教「天に星,地に花・・・」を拝聴しておりました。

そのご法話の中でも今回紹介する佐々木閑教授の最新著作の「宗教の本性」のお話が冒頭にありました。

サブタイトルは ― 誰が「私」を救うのか ― となっており,腰巻には

死にゆく自分を支えるのは ― 神か,仏か,私自身か?とあります。

腰巻前面だけでもレジに直行しそうな魅力に溢れておりますが,中身ももちろん充実しており,購入して通読し先週の禅と茶の集いでも皆さんに紹介しました。

 

この本の前半は『サピエンス全史』の宗教の定義や,一見すると無宗教者が多くなってきている現代の隠された新宗教を分かりやすく紐解きます。

 

またノーベル賞受賞一歩手前で逝去された戸塚洋二さんのがん宣告を受けてから死ぬまでの日々の心境や生活を記録するブログも引用されながら一人称としての「死」に向き合った際の宗教についても語られます。

 

中でも

「現代に生きる私たちは、この世の幸福を存分に味わいながら「死にたくない」という思いをひきずりつつ死の深淵へと歩かされている「不幸な幸せ者です。」

 

という言葉にはドキッとさせられました。

 

科学の叡智を持っても,どんな文明の発達をもっても「気持ちよく死ぬ」「喜びをもって死ぬ」ことは現代では出来ないという指摘にも大きく頷いてしまいました。

 

ここからはYmの私論ですが,世界大戦後からは政教分離で,公教育からは宗教は締め出されましたが,それが却って宗教への無関心,知識不足へと繋がりオーム真理教や統一協会などに入信する若者を助長してしまう結果となり,現代こそ正しい宗教知識,モラルを持つべきであり若い世代の方々へ教えるべきものだと思います。

 

現代日本でもし宗教教育が始まるとするならこの「宗教の本性」はまさにうってつけの教科書だと思います。(Ym)