禅と茶の集い

みをただし いきをととのえ すわるとき そのみ そのまま みな ほとけなり

美しい日本の私 「禅と茶の集い」だより(89)

今日(2015年10月30日)は第5週なので6時から読書会でスタートしました。

今日から「美しい日本の私」を読み始めました。
これは、川端康成が1968年にノーベル文学賞を受賞したときの記念講演の全文です。
この講演録に私が出会ったのは、千葉市美術館で日本の美を特集した展示があった時でした。
川端康成が日本の美についてどういう視点を持っていたのかをその時初めて知り、その禅的な世界観に驚きました。

川端康成の名前やその代表作はよく知られていますが、その世界観そのものを直接知るには、これがよいと思い今回輪読のテキストにしました。
講演録ですからそれほど長くはないのですぐに読めそうだと思いましたが、いざ読み始めていると味わいが深く読みこなすのは簡単ではないという気がしました。
冒頭は、次の歌で始まります。
 
 春は花夏ほととぎす秋は月
 冬雪さえて冷しかりけり 

 

冷しには、(すずし)とかながふってあります。
これは、道元禅師の「本来の面目」と題する歌です。
本来の面目というのは、入門すると最初に与えられる公案でもあるので、禅に興味を持った人なら、ピンとくるものがあるでしょう。
もちろん、今日はじめて、この語と出会った人もいます。
さて、この歌をそれぞれがどのように受け止めるかという話になったのですが、まさにその人によって受け止め方が違います。
日本の四季の美しさを詠んだものだというのは誰もが思うことでしょう。でもただの景色でしょうか。
 
いろいろな感想が出ましたが、それを書いてしまうとそれにとらわれてしまう可能性があるので、ここまでにしましょう。
 
次はお茶の時間です。
今日から炉でお茶を点てることになりました。
各自でお茶を点てるのですが、今日が初めてという方もいてなかなか楽しい時間となりました。
歌の解釈の話が続いたのは言うまでもありません。
お菓子は、栗蒸し羊羹(ようかん)と欠餅(かきもち(おかき))でした。

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お茶の時間の途中でしたが、今週も初めて会を訪れてくれた方がありました。
禅と茶の集いは、途中からの参加も大歓迎なので興味のある方は、勤め帰りにでも気軽にお越しください。
 
来週は、2015年11月6日。午後6時から始まります。
お待ちしています。
 
義存 合掌