禅と茶の集い

みをただし いきをととのえ すわるとき そのみ そのまま みな ほとけなり

現代社会人のための禅修行階梯 第二部(2)嗅覚・味覚における「中核自己に備わっている宝物」

第一章 嗅覚・味覚における「中核自己に備わっている宝物」(①「断」または「断」の機能)を体得し・味わい・使いこなすための技法

 

第一部 第四章のⅡ(第一部(15))で示しましたように、嗅覚・味覚における「中核自己に備わっている宝物」(「断」または「断」の機能)を見つけ取り出す(体得する)ことは、それほど難しいことではありません。

「嗅いだら 嗅いだまま、味わったら 味わったまま」になればよいのですから。 しかしそのことを味わい・使いこなすことについては、「日常生活の場」 では、その価値はほとんど認められていません。 

 

ただしインド・東南アジア・中国・韓国・日本の寺院とかキリスト教の教会などでは、非「日常生活の場」を演出するかのように香料が良く用いられます。このような香りによって、瞬間的にでも「日常生活の場」の喧騒が「棚上げ」されると良いのですが。 

 

これからも折に触れて、茶の香り・花の香り・磯の香り・森の香り・風が運んでくる香りなどで「自伝的自己」が働き出す前の「静寂さ」を味わってみてください。  

 

そのためには、『ガイドマップ』四合目 内言語法3・・・○吸気は「オー」で両「内迎香」に、呼気は「ンー」で両鼻腔近辺の温かさに繋意、を体得し・味わい・使いこなしてみてください。

吸気の時は両鼻孔から両内迎香にかけての風(空気の流れ)を感じることによって、呼気の時は両鼻孔からの温かさを帯びた風(空気の流れ)を両鼻腔近辺でゆっくりと感じることによって、「自伝的自己」を「棚上げ」にするのです。そしてこのような呼吸法を、香りを楽しむ時に使ってみてください。(『ガイドマップ』では、呼気は「ンー」で「赤丸」に繋意、としていましたが、最近は上記のように少し修正しています。)  

先師磨甎庵老漢が御提唱の時、大衆面前を通過され講座台にお上りになられる時に漂った香り(法衣の中の匂袋からの)が、今でも私の脳内に微かに残っています。