禅と茶の集い

みをただし いきをととのえ すわるとき そのみ そのまま みな ほとけなり

必ずまた会える 懐かしい場所で かぐや姫の物語

もう2年まえになりますがコンパッションマインドセラピーを受講していた時に一番しっくりと来た瞑想と言いますかお題が「懐かしい場所」でした。

 

言われてすぐに思い描いたのが夏休みの実家の畳でした。 何処にも連れて行ってくれない両親にぶーたれていた小学生高学年の自分が目に浮かびます。

当時は不満だらけのように思っていましたが今思い返せば一番心安らぐ,懐かしい情景であり,まるで映画「異人たちとの夏」の鶴太郎さんと秋吉さんの両親に甘えていた風間杜夫さんのような気分がいたします。

 

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「自分が一番懐かしく心安らぐ場所」と言われ,建売住宅の狭い平屋の中,なーんにもすることがなく,畳の上でずりずりと這いまわって行き詰っていたようにも思いますが,思い起こすとわが生涯の中でも父と母に守られ一番安心で,懐かしく温かい家庭を味わっている瞬間だったことが今更ながらはっきりとわかります。

 

  遅ればせながらジブリの「かぐや姫の物語」をつい最近視聴致しました。

なんでも高畑勲さんの遺作となる作品とのことで,またご自身が映画にしたくない作品だったことなどお聞きしてからの視聴でしたのでなんだか一層胸に詰まる思いが致しました。

 

日本昔話の「かぐや姫」は多くの方がご存じだと思いますが,月からの使者がかぐや姫を迎えに来るシーンは,まさに浄土世界のご来迎の世界そのもののような気が致しますた。(あくまで個人的感想です)

 

ジブリ作品にお詳しい細川和尚さんも『熱風』の中でこの作品を取り上げて「応無所住而生其心」という禅語を紹介されておりました。

 

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この句は金剛経というお経の眼目で「求道者や優れた人々はこのように捉われない心を起こさねばならない。」と解説されております。(Ym)